高度がん医療を先導するがん医療人養成 -平成29年度 文部科学省 多様な新ニーズに対応する「がん専門医療人材(がんプロフェッショナル)」養成プラン-

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あいさつ

事業推進責任者
京都大学大学院医学研究科 教授
武 藤  学

現在のわが国は、世界に類を見ない超高齢社会を迎えるとともに生産人口の減少、少子化と 社会構造が大きく変わりつつあります。一方、科学技術の進歩もめざましく、医療の分野でも 新技術が次々生み出され、新しい医療の提供が様々な分野で行われるようになっています。わ が国が今後も健全な社会を維持するためには、国民の健康長寿は必須であり、安心して暮らせ るようにしなければなりません。なかでも、わが国の死因の第一位である「がん」の医療に関 しては、最先端の医療技術を活用しながら、ライフステージに合わせた多様な新しいニーズに 対応できる医療人の育成が求められています。
本事業では、京都大学、三重大学、滋賀医科大学、大阪医科大学、京都薬科大学において、 ひとりひとりのがん患者に、より精密な医療を提供するプレシジョンメディシンを実現する「が んゲノム医療」、これまで対策が不十分であった「希少がんや小児がん」、そして「様々なライ フステージとニーズに合わせたがん医療」に対応できる医療人の育成を目指します。
具体的には、がんゲノム医療では、がん組織におけるゲノム変化を理解し治療に結びつける がん薬物療法専門医の育成に加え、家族性腫瘍などのゲノム情報にも対応できる臨床遺伝専門 医や遺伝カウンセラーの育成を行います。希少がん、小児がんにおいては、これまで原因が不 明だった病態の解明と病態に基づいた新規医療開発ができる研究者と医療人を育成します。さ らに、現在のがん医療は、社会構造の変化にも大きく影響されており、様々なライフステージ と新しいニーズに合わせたがん医療の提供が必要になってきています。例えば、高齢者に対す るがん医療のあり方、腎障害や肝障害などの合併症をもつがん患者への治療、からだに優しい 低侵襲な治療開発などが大きな課題になっています。特に、ロボット手術や高精度放射線治療 など最先端の治療を担う人材は不足しており、その育成は喫緊の課題であります。さらに、が んと診断された時から心身のケアを含む緩和医療を担える人材を育成する必要があります。
私達は、このようながんの専門的教育を実践することによって、幅広い領域の医療人の育成 とがん医療の発展に貢献し、健康な社会つくりの一躍を担いたいと考えています。

京都大学コーディネーター 大学院医学研究科
教授
溝 脇 尚 志

本教育プログラムの主眼は、プレシジョンメディシンを実現する「ゲノム医療」、これまで対 策が不十分であった「希少がんや小児がん」、そして「様々なライフステージとニーズに合わせ たがん医療」に対応できる医療人の育成であります。京都大学におきましては、前2期のがん プロフェッショナル養成プログラムにおいて築いてまいりました基盤の上に本教育プログラム を整備することにより、幅広く高度な臨床能力を身につけ先導的にがん研究を推進できる医療 人の養成を行います。また、ゲノム医療、ロボット手術や高精度放射線治療などの最先端医療 に加えて、家族性腫瘍などに対応できる臨床遺伝専門医や遺伝カウンセラー、がんの診断時か ら緩和医療を担える人材等、幅広い医療人を養成するために、9つのコースを開設いたしてお ります。本プログラムの実施におきましては、連携5大学との交流を通して、本学のプログラ ムが対応しきれていない内容についても相補的に学べる環境を提供いたします。また、海外の 先端的施設における研修の機会も設けております。
 本教育プログラムによって、我が国の将来の医療を中核となって担える人材を養成していき たいと考えております。

三重大学コーディネーター
がんセンター長
中 瀬 一 則

三重大学では、第3期のがんプロである「がん専門職医療人材(がんプロフェッショナル)」 養成プランの大学院の教育コースとして、従来までの腫瘍内科専門医、放射線治療専門医、乳 腺外科専門医、婦人科腫瘍専門医、がん専門薬剤師、がん看護専門看護師の養成コースに加えて、 新たに、小児がん専門医の養成コースを開設しました。三重大学医学部附属病院は小児がん拠 点病院に指定されていますので、小児がんのすべてに対応した研修が可能となっています。こ れらの大学院コースでは、がん研究による学位の取得とともに、がん専門職の資格取得を目指 した指導教育を行い、優れたリサーチマインドを持ち、ライフステージやゲノム情報に応じた 個別化医療を適切に実施できる高度がん医療人の育成を進める予定です。また、インテンシブ コースにおいても、ゲノム医療を推進できる医師養成コース、ライフステージ・地域特性に応 じたがん治療を提供する医師養成コース、ライフステージに応じた緩和ケアを実践できる多職 種人材養成コース、地域のがん薬物治療を支える薬剤師養成コースを開設して、講演会、セミナー 形式による研修を行うことにより、地域におけるがん医療の総合的な向上を目指します。

滋賀医科大学コーディネーター
臨床腫瘍学講座 教授
醍 醐 弥太郎

滋賀医科大学大学院医学系研究科・医学専攻では、多彩な新ニーズに対応する「がん専門医 療人材(がんプロフェッショナル)」養成プランにおいて、過去10 年間のがんプロフェッショ ナル養成事業の実績と最新の社会的ニーズを踏まえ、先進的がん医療開発、がんゲノム医療、 ライフステージに応じたがん集学的治療(薬物療法、外科療法、放射線療法、緩和ケア、支持 療法)、小児がん治療に精通した医療人材を養成することを目的とした4つのがん専門医療人 コースと3つのインテンシブコースを新たに設けました。
いずれのコースにおいても最先端の基礎・臨床腫瘍学とその学際領域を教育するとともに、 がんの基礎研究からトランスレーショナルリサーチにつながる研究手法の指導と先進医療制度 や医師主導治験等を通じたがん先進医療開発のOn the Job Training(OJT)を行い、標準治療 から先進的医療、創薬研究までを推進して包括的・全人的がん医療を指導的立場で実践できる 専門医療人材を養成します。また、行政、地域医療機関、国内外の卓越した大学院・研究機関・ がん専門病院群とのネットワークや本学の特色ある教育・研究基盤を活用し、地域と世界で活 躍する人材を輩出して医療、福祉の発展に貢献することを目指します。

大阪医科大学コーディネーター
化学療法センター長
後 藤 昌 弘

大阪医科大学では平成19 年度から実施された「高度がん医療を先導する人材養成拠点の形成」 プログラム、さらに平成24 年度からの「次代を担うがん研究者・医療人養成」プログラムで化 学療法専門医、放射線治療医、がん手術療法専門医養成コースを設置し成果を上げてきました。 今回の「高度がん医療を先導するがん医療人養成」プログラムでは、それぞれの専門医育成プ ログラムをさらに発展させることを目的に「ライフステージに応じた化学療法専門医養成コー ス」、「希少がんに関する放射線治療を担う人材養成コース」、「婦人科腫瘍治療におけるゲノム 医療従事者養成コース」の3つの新コースを設立しました。それぞれのコースでの養成分野は 「ライフステージ」、「希少がん」、「ゲノム」と異なりますが、いずれもがん専門医療人の育成に は欠くことのできない分野です。それぞれの領域における学位の取得とともに、領域横断的な 講演会・研修会参加の機会を積極的に提供し、新たなニーズに柔軟に対応できる優れた人材を 育成するとともに、国内外での短期研修・発表の機会を通して視野の広い医療人の育成を目指 します。

京都薬科大学コーディネーター
生命薬科学系 病態生理学分野 教授
芦 原 英 司

京都薬科大学では、薬学の未来を拓く“Science(科学)、Art(技術)、Humanity(人間性) のバランスのとれた薬剤師”の育成を目指した6年制薬学教育を推進するとともに、学部教育 に連動する大学院博士課程では、医療現場、企業、行政といったあらゆる医療現場においてリー ダーとなる博士号を有した薬剤師を育成することを目的に教育を進めております。
本学は、「ライフステージに応じた個別化がん治療において全人的医療に貢献するがん専門薬 剤師養成コース」を設けました。大学附属病院および基幹病院での連携プログラム、在宅支援 診療所との連携プログラムの2つの教育プログラムを企画し、がん薬物療法の高度な専門知識 と基礎的または臨床的薬学研究能力を有し、テーラーメイド医療を実践できる薬剤師の養成、 および地域包括ケアシステムにおけるがん薬物治療の指導的役割を果たし、高度で先進的な在 宅医療を提供できる薬剤師の養成を主眼として、進めていきます。さらに、がん専門薬剤師(指 導薬剤師)を目指す大学院生や薬剤師を対象としたキャリアパスセミナーを開催し、がん医療 チームの一員として、『現場で科学する』薬剤師の養成を目指します。